たかしげ宙、「直方いこいの村」に二泊していた事件
去年の9月中旬ではあるのですが。
たかしげ宙先生が
「アルクベインの舞台となる筑豊の雰囲気を知りたい」ということで
福岡に来られていました。
たかしげ先生以上にノープランな高田のエスコートにより、
直方のいくつかの資料館と福智山ダムには案内したものの、
取材が実になっているのかなっていないのか分からずまま。
高田の残念な脳が理解出来たのは、
たかしげさんが直方で借りられていたレンタカー
「プリウスの技術スゲエ!」
ということくらいで。
たかしげ御大に無駄な時間を使わせているのがよく分かります。
その癖、逆年功序列でご飯はたかしげさんがご馳走してくれる、という。
挙げ句は、わが仕事場にご案内したまでは良かったものの
良い頃合いに用意していた色紙にサインを頂いたというのに
「文字が小さいッス!」とクレームを入れる始末。
つまりはタチの悪いたかりでした。
このままではイカン、と
残念な脳も少しは危機感を持ち始めていました。
村上チヒロ参上
そこに馳せ参じてくれたのが、村枝先生のマブダチ(なの?)
村上チヒロ氏。
友達の居ない高田n…もとい福岡に地盤を持たない高田のために
アシスタントさんを紹介出来るように、
と村枝先生が送り込んでくださったエージェントであります。
電話で「たかしげさんが来るらしいですよ」と報告すると
二つ返事で仕事を押してまで駆けつけてくれました。
田川石炭資料館
村上氏の取材プランの第一目標は、先だってお話のあった
「田川石炭資料館」
http://www.joho.tagawa.fukuoka.jp/sekitan/
お母さんのお知り合いということで、館長さんへの口利きをして頂きました。
行ってみるとコレが凄い。
内部の再現の他、当時使用していた特殊車両の展示、
圧巻は当時地下200mをぶち抜いていた竪坑から労働者を輸送していた巻き上げ機そのものの展示。
ノッカーズ「ロードヘッダ川島」のモデルとなった重機
自分とたかしげさんが特に興味を惹かれたのが
「山本作兵衛さんの炭鉱記録画」で
当時小コロニーのような炭坑地区の生活、文化、風俗が絵巻物になって解説されていました。
「朝にみそ汁かけご飯を食べるのは「みそが付く」という語呂から縁起が悪い」として
凄まじいのは、新参の炭坑夫がそのままリンチに遭い下手すれば死亡することすらあったとか。
昭和初期とはいえ、なんというカオス、なんというサバイバル。
様々な事故と背中合わせで働いていた炭坑夫たちの物々しさだけではなく
山の神を女性神として崇め信仰していた当時の風土や
町単位での祭り、映画等の娯楽の話等々
高田に至っては
「青の橘花よりむしろこれをコミックス化したい!」
という本末転倒な構想すら。
やはり生の人の体験談は違います。
そこでたかしげさんと我に返り
「炭坑歴史物を描くわけではない!」と。
気が付けば軽く2時間経っていたのですが。
「炭坑」というキーワードから、大概の物はそこで知ることは出来たのですが、
イマジネーションを膨らませるにはもう一つ足りません。
ここでの資料を衣谷先生にお出しすれば、
御大の実力と優秀なスタッフさんがカッチョイイものに仕上げてくれるのは疑う余地もないのですが。
三池炭鉱万田坑
そこで知ったのが大牟田にある「万田坑」というもうひとつの炭坑跡。
ここは資料館とは別に、当時使っていた炭坑施設が取り壊されないまま丸々残っている、という空間で。
田川資料館にたまたま来られていた万田坑の館長さんから頂いたパンフレットに二人は釘付け。
高田なぞはとっくに作画に入らなければならない日程なのに。
気が付けば翌日、たかしげさん村上さんと熊本に向かっていました。
http://www.city.arao.lg.jp/information/mandak/mandak1.html
ここで実にありがたかったのが村上さんの活躍。
引っ込み思案のA型である、たかしげさんと高田に対し、
O型ならではのリーダー気質を発揮(パーティ最年少)、
素早く電話で切り込み隊長を買って出てくれて。
本来前日の夕方の取材依頼など受け付けないであろうところを、
ごり押しでアポをもぎ取って下さいましたw
取材結果はご存じの通り。
なにより高田の漫画より、
「アルクベイン」紙上にて精緻なタッチで圧巻の炭坑風景が再現されています。
正直、万田坑取材がなくては成り立たない迫力でした。
気分はまさにラピュタの世界
この場所はつい数年前まで稼働していたとのことで、
今でも機械油の匂いが充満していました。
実に不義理を致していますが
田川石炭資料館、万田坑炭坑館の関係者様
快く取材を受け入れてくださった上に、万田坑へのご案内をしてくださった
橋本さん
この場を借りてお礼を申し上げます。
唯一残念なのは、橘花劇中で「直方」というワードが強いので
田川の炭坑では読者が把握出来ない、ということで。
クロスという事情もあり、舞台の呼称が直方は福智山に変更になってしまいました。
橘花中では、アルクベインが戦っている舞台を田川にするということで
ささやかながらの義理を見せたのですが、
どう考えてもこの程度では帳尻が合うとは思えません。
さて、今後この恩を返せる機会があるのでしょうか。
余談
そんなわけで
村上氏は
時々弟君と我が家に来ては
コーヒーと漫画をたしなんで帰る、という謎の存在ですが、
色々と頭が上がらないのでありました。
ちなみに、橘花が居候している
「青ノ七」女性職員、鴬野裕香の実家は村上さんの実家ですw
築百年の農家だとか。
トイレの構造が素敵すぎたので是非使いたかったのですが、
話数が少なく描ききることが出来ませんでした。
演劇集団つむじ
村上氏はここで役者として活躍をされています。
自分も色々協力させて貰っているので
興味を持っていただけたら、是非足を運んでみてください。
「演劇集団つむじ」
http://www.e-tsumuji.com/